求む、キャラ愛!
“愛されキャラ”を作るには?
日頃よりくらげバンチをご愛顧いただき、ありがとうございます。
ご好評賜り、第7回くらツイ漫画賞も開催決定!
そこで今回は、くらげバンチはこんなマンガを求めてるよーというのを実際に連載している作品を例にあげて、個人的な見解を交えつつ、紹介したいと思います。
①“固定観念”はギャップの母!
ギャップのあるキャラクター、魅力的ですよね。
ただ、くらツイ漫画賞に投稿できるのはたった4P!
短いページでキャラのギャップを表現するには…
固定観念を利用してみましょう!
例えば『極主夫道』第1話の冒頭シーン。
主人公・不死身の龍の迫力ある登場シーンです。
ここで読者は、
「あ、このキャラクターはヤのつく人なんだな…」
と認識します。そしてそこからの…
ここで大事なのは“極道”というキャラ像が既に読者の中に、ある程度出来上がっている点です。
皆さん、極道ときくと、どんなイメージが浮かびます か?
悪、暴力、犯罪、怖そう…おおよそ、こんなイメージが浮かぶのではないでしょうか。
『極主夫道』では、実際に暴力的なシーンを描いたり、キャラクターの説明をしなくても、「極道=凶悪」という読者の前提知識を利用することで、最低限のページ数で“前フリ” ができました。
あとはその固定観念を裏切るだけ!
思えば、回転寿司屋でふくよかな人がガリを大量に食 べていても何の問題もないわけで、これまた私が固定観念にやられちゃってた例ですね。しょうがないです ね。ガリが、その、アレなだけに。
せっかくなので、『間違った子を魔法少女にしてしま った』を参考に、もう1パターン見てみましょう。
魔法少女モノにいかにもいそうなマスコット的な キャラが見つけたのは、これまたいかにも魔法少女に相応しそうな美少女・真風羽 華代。勢い勇んで魔法少女にしてしまうけど…
どちゃくそヤンキーでした。
こちらも、「魔法少女=清廉・純粋」といった読者の
固定観念を見事に裏切った作品となっています。
「こういうキャラって普通こうだよな」というステレオタイプを見つけたら、それはあなただけの魅力的な キャラを作る第1歩を、既に踏み出しているようなもの。
読者の固定観念を利用して、最低限のページで、強烈なインパクトを残しましょう。
②水と油は意外に合う? 思いがけない組み合わせで魅せよう!
一人のキャラではうまくインパクトがでない…そんな時は組み合わせを考えてみましょう。
例えば、『恋屍川さんは肉食系』。
ゾンビであるという素性を隠し、学校に転校してきた、恋屍川さん。
惨劇の予感…。
本来ならばゾンビと生きた人間は、絶対に隣り合わせ てはいけない、混ぜるな危険の組み合わせ。だけど、ゾンビの隣にいるのが、恐怖に怯え逃げ惑う生存者ではなく、おっとりとした可憐な女子高生というだけで……
なんだか新しい読み心地!
そしてこちらは『部長が堕ちるマンガ』。
どの会社にも一人はいそうな、パワハラめいた堅物部長。
彼一人ではマンガになりにくそうですが…そんな彼が出会ったのは、
生粋の腐女子!
決して交わるはずのなかった二人が出会ったことではじまるレボリューション。
相容れない組み合わせだからこそ、彼らの今後から目が離せません。
このように水と油の関係は、マンガにおいて必ずしもネガティブな意味にはなりません。
もちろん、組み合わせは、キャラ同士のものだけとは限りません。
例えば、キャラと舞台の組み合わせ。
『少女終末旅行』では、
少女たちの何気ない日常のやりとりも、退廃した終末の世界で行われるからこそ、特別なものに感じられます。
あるいはジャンル同士でも、『宇宙戦艦ティラミス』をみると、SFとギャグという一見食い合わせの悪そうな組み合わせが見事に作品の個性に!
マンガのネタを考える時は、頭の体操がてら、突拍子のないジャンルや設定を組み合わせてみるのも良いかもしれません。
③未知なる世界と共感
自分の知らない世界を手軽に覗けるのもマンガの醍醐味の一つ。
趣味嗜好が細分化したこの時代だからこそ、あなたの経験がマンガに活かせるかも!
そんなわけで、第7回のくらツイ漫画賞・テーマ部門のお題は「私の趣味」です!
誰にも言えない趣味、ちょっと珍しい趣味、趣味というかもはや生甲斐――そんな皆さんの熱い想いを、ぜひマンガにして投稿してください!
しかし、単純に知識や趣味を説明するだけの“解説マンガ” にならないよう、注意した方が良いかもしれません。
4P以内に情報を詰め込みすぎると、テキストが多くなって読み辛くなってしまうことも。
さらに、解説重視のマンガになってしまうと、読者層が「最初からある程度その分野に興味がある人」に絞られてしまう可能性もあります。
せっかくあなたが熱中している趣味の魅力、どうせならより多くの人に知ってもらえるように工夫しましょう。
例えば、『クマ撃ちの女』をみてみましょう。
男性的なイメージがある狩猟(しかも狙うはクマ!)を行う主人公はうら若き女性です。ここにもギャップがありますね。
同じ狩猟をテーマにするにしても、“誰が”、“何をするか”によって読み味は大きく変わります。
たとえば、定食屋でサラリーマンが定食を食べているとしましょう。
無表情で黙々と食べているよりは、ネクタイを緩め、額に汗を浮かべながら白米をかきこんでいる方が、おいしそうにみえますよね。
同じメニューでも、後者の方が周りの客も「食べたことないけど、頼んでみようかな…」という気分になるはずです。
同じように、たとえマイナーな趣味であっても、それを楽しむキャラクターに興味をもってもらえれば、自ずと趣味自体にも興味がわいてくるのではないでしょうか。
趣味に、何か違う要素を一つ入れ込む、というのも手です。
例えば、『山と食欲と私』。
日本の登山人口は約970万人!そう考えると凄い人数ですね。
それだけ登山はもともと注目度や人気度が高い分野。潜在的な読者層が厚いものを狙ってみるのも大事ですね。
このマンガ、個人的にも大好きな作品!…なのですが 、実は私、登山をしたことがありません。むしろ、これまで何度も登山に誘われてきましたが、頑なに断っています。そういう意味では、私、登山嫌いです。
それでも何故、このマンガが好きかというと、「グルメ」という要素があったからです!
思い出すのは、小学校の遠足――。
へとへとに疲れた後、青空の下で食べたお弁当の味、皆さんも記憶に残っているのではないでしょうか。
仮に登山をしたことがなくても、運動の後のご飯の美味しさ!という直観的に感じられる魅力が『山と食欲と私』には詰め込まれています。登山をしなくても、登頂した満足感と共においしいご飯を食べた気分が味わえちゃうわけです。
私のように登山自体に興味がない人でも、グルメに興味がある人は多いのではないでしょうか。グルメ漫画として読んでいた人も、気づけば登山をしたくなってきて――といった具合に、共感度が高い要素を入れ込むことで、グッと作品の間口を広げることができます。
もし、自分の趣味がマイナーすぎて魅力が伝わるか心配…という方がいたら、別の興味をひきそうな要素の力をかりてみるのも良いかもしれません。
いかがでしょうか。
ざっくりとではありますが、何か一つでも参考になればうれしいです。
皆さんの趣味愛が、これしかない!という表現方法で伝わってくる、そんなマンガの投稿をお待ちしています!